13冊目読了 左砂右

左砂右です。読了!

新世界より (講談社ノベルス キJ-)

新世界より (講談社ノベルス キJ-)

・ページ数 953

・感想
起源3000年ほど、「呪力」という、想像力だけで何もかも出来る力をもった現人類は、町という完全なる自治組織のもと生活していた。主人公らは呪力を修練する学習組織に属し日々を送るが、不気味な獣の噂や、「悪鬼」「業魔」と呼ばれる魔物の伝説、生徒同士の記憶の齟齬など、体制に対する違和感を抱いていく。
そんな感じで始まり、しばらくは子供たちが怪しい噂話や呪力習得をしてすくすく成長する描写が続きます。不気味な獣については、何やら現代の日本にいるようなものではなく、ほとんどエイリアンの類の危険生物だったり、また森の中で自治組織を形成する気持ち悪い二足の生き物だったりで、最初の山場はそういった創作危険生物のいる森でのサバイバルになります。次に主人公たちの大事な仲間が消えてしまいます。その際に、呪力が人類にもたらした力と、その制御についての問題が提示されます。想像力だけで人を殺すことができる力をどのように制御するのか。人が人を殺すことができないという暗示と遺伝子操作、そして危険因子(暗示が薄いものなど)の処分によるものでした。

まずサバイバルの描写がものすごくうまい、そしてこれは人の攻撃性について考えさせられる重い話でした。読んでおいて損はないと思います。